1. 検定試験・資格試験を充実させ、評定平均を限界まで高めること
英語・簿記・情報処理に関連する検定試験・資格試験を充実させることが大切です。特に、英語を最優先に学習しましょう。評定平均を可能な限り高く維持することもまた、多様な受験機会を確保するために大切です。定期試験に力を入れ、可能な限り「5」に近づけるという意識を持ちましょう。
- 英語関連の検定試験・資格試験を優先的に取得する
商業高校からの大学進学を考える上で、最も重要な教科は「英語」です。
なぜそのように断言できるのか。商業なら、むしろ「簿記」ではないのか。
そのような疑問もあるかもしれません。
しかし、最優先にすべきは「英語」です。
「簿記」「情報処理」は、あくまでも商業高校からの大学進学という観点で言えば、「英語」の次に大切です。
その理由は、有名私立大学・国公立大学では、商業高校生が多く受験する入試(「専門学科枠」と呼びます。)の出願要件に、「英語」の検定試験・資格試験・スコアが求められることがあるからです。
具体例として、関西大学商学部の「学校推薦型選抜」の「出願資格」を確認してみましょう。
(4)次の①および②の条件を満たすこと。
①日本商工会議所簿記検定2級以上(CBTも対象とする)、全国商業高等学校協会簿記実務検定1級[会計(部門)・原価計算(部門)含む]、独立行政法人情報処理推進機構基本情報技術者試験、全国商業高等学校協会情報処理検定1級[プログラミング(部門)またはビジネス情報(部門)]のうち1つ以上の検定試験に合格していること。
②実用英語技能検定2級以上の検定試験に合格(CBT、S-CBT、S-Interviewも対象とする)、全国商業高等学校協会英語検定1級の検定試験に合格、TOEIC®L&R 490点以上(IPテストを除く)、GTEC(4技能)1,000点以上(OFFICIAL SCORE CERTIFICATEに限る)のスコアを取得していること、のうち1つ以上の条件を満たしていること。
参考:「2026年度 関西大学 学校推薦型選抜 商学部公募制推薦入学試験 入学試験要項(2頁)」【https://files.microcms-assets.io/assets/76cac1d7ce9f4ad08d453f8f074f8419/d1099ff7cd4b404ebac996f262759284/2026_recommendation_commerce_yoko.pdf】(2026年4月26日確認)
関西大学商学部の上記入試に出願するためには、検定・資格の要件として、上記①及び②を満たす必要があります。
色々な選択肢が用意されていますが、商業高校生にとって最も馴染みがあり、かつ、合格する可能性が高いのは、全商検定です。
①については「全商簿記1級」「全商情報処理1級」、②については「全商英検1級」で満たすことができます。(赤字にした部分をご参照ください。)
商業高校の学習に真面目に取り組んでいる生徒であれば、①を満たすことはそれほど難しいことではありません。しかし、②の英語はそう簡単には満たすことができません。
より計画的かつ継続的な準備が必要になります。
この入試のポイントは、②の英語関連の検定・資格を満たすことができるかどうかにあります。ここが、この入試に出願できるかどうかの大きな分かれ目となります。
この入試の入試結果(2026年度)も確認してみましょう。
公募制推薦入試(商学部)志願者・合格者数
志願者:33
合格者:16
参考:「公募制推薦入試(商学部)志願者・合格者数」【https://www.nyusi.kansai-u.ac.jp/admission/2026_result/recommend/】(2026年4月26日確認)
志願者33人のうち、合格者が16人です。倍率、約2倍です。
決して易しい試験ではありませんが、一般入試で受験することを考えれば、合格の可能性はあると言えます。
商業高校の学習に真摯に向き合うことで、このような入試に挑戦する機会を得ることができるのです。
商業高校の生徒も含めて、残念ながら、このような入試があるということを知っている人は、それほど多くないという印象です。また、仮に知っていても、②の要件を満たせずに断念という人も少なくないと思います。
だからこそ、大学の発信する情報には人よりも敏感になり、同時に、英語を計画的に準備することが大切なのです。
関西学院大学商学部もまた、商業高校生に門戸を開いています。
関西学院大学 学部特色入学試験 2026年度
[高等学校商業科等を卒業見込みの者]
(2) 次のa~dのすべてに該当する者。
a.高等学校商業科(会計、情報、流通などを含む)を卒業見込みの者で、商業に関する科目を20単位以上修得見込みの者。
b.高等学校入学時より第3学年1学期までの全体の学習成績の状況が4.3以上の者。
c.全国商業高等学校協会英語検定1級または日本英語検定協会実用英語技能検定2級以上の合格者。
d.日本商工会議所簿記検定2級(ネット試験含む。)、全国商業高等学校協会簿記実務検定第1級、全国商業高等学校協会情報処理検定第1級、情報処理技術者試験レベル2「基本情報技術者試験」以上のいずれかの合格者。
参考:「関西学院大学 学部特色入学試験要項 2026年度(12頁)」【https://www.kwansei.ac.jp/admissions/assets/faculty_specific_2026.pdf】(2026年4月26日確認)
上記入試は、「高等学校商業科(会計、情報、流通などを含む)を卒業見込みの者で、商業に関する科目を20単位以上修得見込みの者」という要件が示す通り、商業高校のカリキュラムで学んでいることそのものが、出願資格となっています。
もはや昔のイメージかもしれませんが、「商業高校と言えば、就職のための学校で、大学進学には不向き」というイメージが、私が商業高校に通っている時代にはありました。
しかし、しっかりと情報を調べれば、上記の入試のように、商業高校のカリキュラムで学んでいることそれ自体が出願資格となっている入試もあります。
商業の単位に関する要件もあることから、普通科の進学校の生徒がこの要件を満たすことは困難です。
よって、商業高校生であることそれ自体がチャンスと考えることができるわけです。
もっとも、評定平均(bの要件)・英語(cの要件)・検定試験(dの要件)がありますから、商業高校生であるというだけでは出願することはできません。
しかしながら、商業高校での学習に真摯に向き合えば、bからdの要件も満たすことができます。
特にハードルになり得るのは、やはり英語です。
英語をしっかりと準備していれば、このような入試に挑戦する機会を得ることができます。
入試結果も確認してみましょう。
2026年度【2025年度実施】 学部特色入学試験
商学部 高校商業科
志願者数:19
合格者数:10
参考:「2026年度【2025年度実施】 学部特色入学試験」【https://www.kwansei.ac.jp/admissions/assets/faculty_specific_result2026.pdf】(2026年4月26日確認)
志願者19人に対して、合格者が10人です。倍率、1.9倍です。
なお「商学部 事業経営 一般」では、志願者数33人に対して、合格者数が1名です。倍率、33倍です。
一般入試はもちろん、商業科に絞りをかけていない、より一般的な区分での入試と比較すると、「商業科」に絞りのかけられたこの入試を受験する機会を得られることが、いかに貴重であるかが実感できます。
このような入試を受験するチャンスを逃さないためにも、英語を早い段階から準備することが大切なのです。
このように、専門学科枠であれば、評定平均・英語・全商検定(簿記・情報処理など)を準備し、各入試に向けた適切な準備(「志望理由書」「小論文」「面接」など)を行うことで、偏差値の高い進学校の生徒が競争相手となる一般入試を受験することなく、難関とされる大学に進学できる可能性があります。
私が昔から「商業高校からの大学進学はむしろ有利」(YouTube)と言い続けているのは、商業高校生は、一般入試で難関とされる大学で実施されている専門学科枠の入試を受験する資格があるからに他なりません。
例外はありますが、基本的に、商業などの専門学科・総合学科の生徒しか、このような入試を受けることはできません。つまり、ライバルは進学校の生徒ではなく、同じカリキュラムで学んできた商業高校生なのです。
英語・全商検定など、商業高校での学びをフルに活かすことで、偏差値競争ではない方法で、有名私立大学・国公立大学を受験する機会が与えられているのです。
この貴重な受験機会をつかみ取るために、「英語」が大切なのです。
高校3年生になり受験を本格的に意識し始めたタイミングで、「英語」に関連する検定・資格・スコアがあれば、有名大学・国公立大学を含めて、受験できる入試の選択肢を広く持つことができます。
反対に、「英語」を学習してこなかったこと理由で、「本当はこの入試に出願したいけど、英語の要件が満たせないから出願できない」という事態も想定されます。
仮に結果が「不合格」であっても、入試に全力で挑戦した結果としての「不合格」なのか、そもそも出願すらできなかったというのでは、後者では納得感を得にくい場合もあります。
その煮え切らない気持ちが、大学入学後、仮面浪人というケースにつながるおそれもあります。
個人的には、大学では学問や課外活動など、入学した大学での生活を準実させることに時間を充てるべきだと考えています。就職や大学院進学など、大学卒業後の進路で評価されるのは、5教科の成績ではなく、大学入学後に何を学び・どのような活動をしてきたのかという点だからです。
そういう意味でも、その時の自分が最も納得できる挑戦(「本心からやり切ったと思える挑戦」)をするためにも、英語を準備して、多くの選択肢を持つことが大切です。
また、英語は小学生や中学生からの積み上げ式の教科のため、文法を完成させ、必要な単語を覚えて、長文の読み方に慣れるまで、一定の時間がかかります。
数学と同じで、英語も一朝一夕には習得が不可能です。
コツコツと学習を積み重ねることで、少しずつ実力がついてくる教科です。
そのため、英語の必要性や重要性に気づいたタイミングから、すぐにでも学習をスタートすべき教科なのです。
積み上げ式ではあるものの、中学で英語をほとんど勉強してこなかった生徒であっても、商業高校に入学してから(高1の4月頃)、必要な準備を、適切に積み重ねることができれば、専門学科枠の英語の要件を満たすことは、十分に可能です。
とにかく、早ければ早い方が良く、気づいたタイミングで始めてください。
さらに言えば、専門学科枠にこだわらずに、英語を活かして一般入試や学力が問われる公募推薦を経由して、大学進学する選択肢も考慮に入れることができます。
商業高校から一般入試を経由して大学進学するケースは、私の知る限り、それほど多くありませんが、英語ができれば、実際にそれも可能です。
専門学科枠の入試は、商学部・経済学部・経営学部で実施されていることが多いですが、例えば、文学部・教育学部・農学部・理学部など、専門学科枠の入試をあまり見ない学部(※大学によっては、実施されている場合もあるかもしれません)であっても、一般入試であれば受験することができます。
英語ができれば、極端な話、専門学科枠にとらわれずに、志望校や学部を選ぶことができるのです。
ここまで、商業高校からの大学進学を考える上で、なぜ「英語」が最も重要なのかを説明しました。
しかしながら、専門学科枠を全体的に見れば、「英語」を出願要件としているのは一部の大学であって、むしろ「英語」なし、例えば「簿記」「情報処理」などで出願要件を満たせる大学の方が多いと思います。
有名私立大学・国公立大学などの一般に高く評価されている大学への進学に、特段のこだわりのない場合、「英語」よりも、むしろ、次の項目の「簿記」「情報処理」に関連する検定試験・資格試験の方が、入試の出願要件を満たすために、より汎用性が高い場合もあります。
本記事で「最も重要」と述べているのは、主に、商業高校から有名私立大学・国公立大学への進学を考える場合を想定したものです。
英語がどうしても苦手で、どうにもならない場合であっても、「簿記」「情報処理」のどちらで全商検定1級を取得できれば、それをもって検定・資格の要件を満たせる大学も数多くあります。
本記事の内容は、YouTube・noteでも解説しています。
- 簿記、情報処理関連の検定試験・資格試験を取得する【執筆中】